先日クローズアップ現代で『歯科インプラントトラブル急増の理由』というテーマの内容の放送がありました。
今回の放送はインプラント治療に関してかなり批判的な報道になっておりました。内容に関しては他のホームペーシにて確認して頂くとして、私なりの意見を述べさせていただきます。
NHKの放送を見てインプラント治療に関して否定的な考えを持たれた方も多かったと思います。
しかし、例えばスウェーデンではインプラントの会社である旧ノーベルファルマを国策として推奨してきました。
ノーベルという名はあの有名なノーベル賞から来ているわけです。
これを考えてもスウェーデン、そしてアメリカなどのヨーロッパでは確かに市民権を獲得しているわけです。
現在インプラント治療は科学としてエビデンスも多く蓄積され、術式や材料は日々進歩しており知識や技術の再構築によりインプラント歯学(Implant Dentistry Inplantology)として確立されています。
ところが、日本では放送であったようにインプラント治療のみがあまりにも歯科医院において収益率が高いため、
歯科医は本来、患者さんの利益を考えた上で最良の説明をしなくてはいけないのに、いつの間にか歯科医自身の利益を考えてインプラントを勧める歯科医が増えてしまい、結果として無理な治療を行ってしまい事故につながるケースが出てきたのでしょう。インプラントを大々的に勧めているところのうたい文句は、歯を失った時、もしブリッジなら両隣の歯を削らなくてはならないがインプラントなら隣の歯を削らなくていいといった説明でしょう。
でも、これとてじゃあ骨を削るのはいいのかという話になるのではないでしょうか?
また、奥歯がなくて入れ歯にしないといけないという人に入れ歯は噛めないからインプラントにしましょうと説明しますが、
それならきちっとした精度と咬合を与えた入れ歯は本当に噛めないというのでしょうか?
入れ歯を入れると引っ掛けている歯が抜けて来るといいますが、それは今まで入れていた入れ歯の設計が悪かっただけではないでしょうか?奥歯が2本抜けたまま放置しておくと残った歯に負担がかかって他の歯も抜けてしまうとか、
顎が曲がってしまうのでインプラントを入れましょうかとなるのですが、2本抜けたぐらいで本当に顎は曲がってしまうのでしょうか?
インターネットの時代になり、明らかにインプラントを大々的に宣伝しやすくなったため完全に歯科医院が経営戦略主体となってしまった悲しい歯科医、そしてそのこと自体も気づいていない歯科医が増えてしまったことが大変残念です。
その患者さんへの総合的な治療・長期予防的視野を考慮したなかで患者さんと話し合った上で患者さんの立場(経済的問題・手術に対する理解)に立って考えた上で本当に必要であればインプラント治療も選択されるべきだと考えています。インプラント治療が日本でももっと賞賛され信用されるよう我々歯科医が地道な努力を行って行く必要があると思います。